こんにちは。うい(@uiuiuipot108081)です!
私が不妊治療専門院へ転院して間もない頃のことです。
高温期が3週間近く続いているにも関わらず、妊娠検査薬は陰性のまま。謎の 長い高温期 に不安を覚えた私は、早速医師へ相談をしました。
血液検査やエコー検査のすえ、医師から聞かされた診断結果はこのようなものでした。
医師
医師がさも当然のように口にした「ニセ」という言葉。不妊ではよくある現象なのかもしれませんが、不妊治療を始めて間もない私には当然、疑問が残ります。
私の身体で、いったい何が起こっているのか。
そもそも、不妊用語でいう「ニセ」って何のこと?
この疑問を解決すべく、私は立ち上がりました。
こんな人におすすめ
- 不妊治療中
- 生理周期が長め
- クロミッド療法中
本記事にはPRが含まれます。あらかじめご了承ください。
ニセ卵の正体は「排卵できなかった卵胞」である
ニセ卵というのはいわゆる通称です。医療の知識がない患者に対してわかりやすいよう、不妊治療の過程で広く用いられるようになりました。
ニセ卵の正しい名称は「遺残卵胞」といいます。
「遺残卵胞(いざんらんほう)」とは
遺残卵胞というのは、その名前からもわかるとおり「遺(忘れて)残(残されて)」しまった卵胞をいいます。
どこに残されているのか?それはもちろん、 卵巣 の中にです。
「遺残卵胞」が起こるしくみ
こちらの図をご覧ください。
本来なら、一定の大きさまで成長した卵胞(成熟卵胞)から排卵がおこなわれます。
排卵後の卵胞やその他の卵胞はしぼんでいき「黄体」へと変化していきます。
排卵後の卵胞が変化して形成される。その後「黄体ホルモン」を分泌し、子宮内膜を受精卵が着床しやすい状態へ整えるはたらきを担う。
しかしながら、排卵されず成熟卵胞が残り続けてしまったり、排卵がおこなわれたにも関わらずその他の卵胞が消失しないことがあります。これがいわゆる「遺残卵胞」です。
恐ろしいことに遺残卵胞は、排卵されないまま卵巣内で成長を続けていきます。
「遺残卵胞」が妊活に及ぼす影響
遺残卵胞は、不妊治療を続けるうえで決して無視できない症状です。
十分な大きさにまで成長した遺残卵胞は、次周期の卵胞の発育に悪影響を及ぼします。具体的には、以下のような症状を誘発するといわれています。
変性卵 | 受精の希望がない卵子 |
---|---|
空胞 | 卵子の入っていない卵胞 |
これらがみられた場合は自然妊娠どころか、人工授精、体外受精においても望み薄となってしまいます。
さらに遺残卵胞は「さらなる遺残卵胞」を生みかねません。狂ったサイクルは、早期に対処するのが不妊治療における鉄則なのです。
「遺残卵胞」の原因
遺残卵胞がどういうものなのかわかったところで、次に「なぜ起こるのか」に焦点を置いて見ていきましょう。
遺残卵胞が起こるおもな原因は、大きく以下の2つが考えられます。
排卵誘発剤の悪影響
不妊治療で出番の多い薬、「排卵誘発剤(クロミッド)」。
排卵誘発剤は卵胞の発育を促進し、排卵を促す目的として処方される。身体への負担が少ない排卵誘発剤のひとつで、不妊治療において頻繁に処方されるポピュラーな薬剤。主成分はクロミフェンクエン酸塩。
今や不妊治療に欠かせない薬剤として広く処方されますが、これが 裏目 に出るケースもあります。
複数の卵胞が成熟してしまう
前項で触れたとおり、本来の周期ではひとつの卵胞に限り成熟しますが、薬剤の影響によりひとつ以上の卵胞が自然とはいえない大きさまで成長するリスクがあります。
その場合でも、排卵するのはひとつの卵胞に限ります。
つまり、排卵できなかった大きな卵胞が卵巣内に取り残されてしまうのです。これがのちに「遺残卵胞」と化してしまいます。
排卵後も薬剤が作用を続け、遺残卵胞が次の周期まで残ってしまうことがあります。
体外受精のステップにおいては、採卵数を稼ぐためあて複数個の卵胞を育てる目的で使用されることもあります。
ホルモンバランスの乱れ
女性の身体は非常に繊細です。
環境や生活習慣の変化、精神状態によりホルモンバランスが乱れやすく、それが体の状態へ直結します。これは不妊治療においても無視できない問題です。
具体的には、ホルモンバランスの乱れによって以下のような症状を誘発する危険性があります。
- 中枢性の排卵障害
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
- 卵巣機能の低下
これらの不妊症は正常な排卵を妨げます。結果として排卵に至らず、遺残卵胞を併発してしまうのです。
「遺残卵胞」の治療法・対策
ニセ卵、もとい遺残卵胞の治療法には「卵巣機能の改善」が挙げられます。具体的な手段は以下の2つです。
ひいては遺残卵胞の再発を防ぐ予防策にも繋がりますので、必ず目を通しておきましょう。
ホルモン療法
ホルモンバランスの乱れが原因で遺残卵胞を引き起こしているのなら、ホルモン値を正常に戻すことで改善が期待できるはず。
そうでもありません。自然な形ではないですが、薬剤を用いて「正常なホルモンの状態」を疑似的につくることができます。
いわゆる「経口避妊薬(ピル)」の投与です。
避妊を目的として開発された薬剤。ホルモン量調節の観点から不妊治療においても使用される。避妊目的であれば低用量で十分だが、不妊症改善目的では中用量が用いられることが多い。
ピルを使うことにより期待できる効果は、以下のとおり。
- 遺残卵胞を一掃する
- 卵巣機能の改善
- 正常な月経周期の回復
- 子宮内膜症の予防 など
漢方薬
ホルモン療法によりリセットしても、それは一時的なもの。原因が解決していなければ同じことを繰り返しかねません。
そこで治療と予防を兼ねた手段として有効なのは、「漢方薬」です。
漢方薬の「柴苓湯」は、卵巣機能の改善に対し医学的に効能が認められています。
柴苓湯には、卵巣機能を改善する作用があるほか、不妊治療によるストレス(肝鬱気滞)を緩和する作用があると考えられる。最近柴苓湯により、PCOS患者の約87.5%に排卵周期が回復したという報告もある。
不妊症に効く漢方「柴苓湯」とは
不妊治療に適した漢方「柴苓湯(サイレイトウ)」の効果・効能とは
遺残卵胞を誘発する多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)のほか、不妊に関するさまざまな症例に効果があります。クリニックから処方してもらえるケースも多いので、医師の指示に従って服用するといいでしょう。
ニセ高温期の正体は「ホルモン異常」である
冒頭で私がニセ高温期と診断された周期はクリニックで排卵確認が済んでいました。
そうなると期待してしまうのは、そう。 妊娠 です。
しかしながら複数回にわたり試行した妊娠検査薬は、どれも” 陰性 “。
このように「高温期が長いにも関わらず検査薬で陰性判定が出る場合」は「ニセ高温期」の疑いがあります。
「ニセ高温期」とは
原因を探るより前に、まずは「高温期」になるしくみからおさらいしてみましょうか。
排卵後の卵胞が黄体へ変化し、その後分泌される黄体ホルモンによる影響で体温が上昇する期間のこと。
排卵後から始まる高温期の場合、通常は2週間以上続けば妊娠の可能性が高いといえます。
長い高温期にも関わらず妊娠反応がない場合
14日以上にわたり高温期が続いているなら、まず想定されるのは「妊娠」です。
裏返せば、それでも妊娠反応がない場合は 正常な高温期ではない 可能性が疑われます。これが、不妊治療において登場する通称「ニセ高温期」です。
重大な不妊症が隠れている可能性もあります。
もし普段はクリニックにかかっていない人でも、このような症状がみられた場合は直ちに医療機関へ相談するようにしましょう。
高温期が14日以上続いているにも関わらず検査薬が陰性の場合でも、検査薬の精度が100%正確とは言えません。吐き気や腹痛、胸の張り等の症状がみられる場合は、妊娠の初期症状の可能性があります。
「ニセ高温期」の原因
排卵後の黄体から分泌される黄体ホルモンが、高温期のカギとなることがわかりました。
黄体ホルモンは別名「プロゲステロン」といい、妊活において非常に重要なはたらきを担いますが妊娠しない限り分泌量は減少していくものです。
つまり「ニセ高温期」ではプロゲステロンの異常か、その他の要因が考えられます。
ホルモンバランスの乱れ
ニセ高温期の原因で多くを占めるのが、ニセ卵の原因でもある「ホルモンバランスの乱れ」。
ホルモンバランスの乱れがプロゲステロンに悪影響を及ぼし、異常分泌を誘発しているリスクがあります。また、プロゲステロン以外のホルモンの影響も少なからず想定されます。
そのほか以下のような不妊症が潜んでいる可能性もあるようです。
- 黄体依存症
- ハルバン症候群
これらは医学用語ではなく、いずれも原因ははっきりしていません。とはいえ無視はできない問題ですので、早期にクリニックへ相談するべきといえます。
いずれにしても、ニセ卵とニセ高温期は併発しやすいといっていいでしょう。
外的要因
室温や気温などの「外的要因」により、普段より体温が高めに維持されている可能性があります。
夏場や、冬場の過剰な空調機による加温の影響は少なからずあるものです。一度、周囲の環境を見直してみてはいかがでしょうか。
体調不良による発熱
風邪などの「体調不良」が原因で体温が平熱より高くなっている可能性も考えられます。
また体調不良には薬の服用がツキモノ。薬の種類によっては、体温に作用するものもあります。
薬の服用時は基礎体温に影響を与える可能性があることを念頭におき、基礎体温表には印をつけるなどして管理するのがおすすめです。
「ニセ高温期」の治療法・対策
ニセ高温期に関しては、ニセ卵におけるピルとは違いダイレクトに改善する手段がありません。
ただ今回の私のように「ニセ卵が悪さをしてニセ高温期を引き起こしているケース」においては、ニセ卵の治療が間接的にニセ高温期の改善へ繋がると判断できます。
それ以外にできることといえば、「ホルモンバランスの改善」です。
基礎体温の安定には、規則正しい生活習慣が必要不可欠。以下のポイントを意識しながら、今の生活習慣を見直してみることから始めましょう。
- 良質な睡眠
- ストレス解消
不妊治療にストレスは大敵です。ニセ卵やニセ高温期になっても、前向きに取り組めるといいですね。
おわりに
とにもかくにも、ニセ卵やニセ高温期のおもな悪因は「ホルモンバランスの乱れ」。
不妊治療の一環として処方される薬剤の影響もありますが、私のように治療をしていない段階で症状がみられた場合は生活習慣の見直しが課題といえます。
クリニックによる治療と並行しつつ、普段から改善しようとする意識が大切ですね。
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